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【研修】一歩ずつ、子どもたちとともに

2026.9.8

こはうす日記

【研修】一歩ずつ、子どもたちとともに

9/6(日)は研修でした。「前半かなりお勉強的なんですけど・・」という講師先生の前置きから、お話が始まりました。でも、あまり聞く機会のない貴重な「お勉強」だったので、ダイジェストを以下に書いてみます。長文ですが、よろしくお願いします笑!

人権の歴史、子どもの人権

 当時の身分制社会に対して「人はみな平等である」と宣言した「人権宣言」(フランス革命・1789)。でも、この時点での「人」は、事実上、白人で富裕な成人男性に限られていて、女性や子ども、労働者などは含まれていませんでした。文字どおり「すべての」人の基本的人権が掲げられたのは、1948年、国連の「世界人権宣言」です。多くの運動を経て、人権は、拡大、深化してきました。

 子どもの人権については、1924年国際連盟での「子どもの権利に関するジュネーブ宣言」が初の国際的な宣言です。18世紀までは、子どもはただ未熟な大人とみなされ、過酷な児童労働や搾取に遭う存在でした。「子どもの権利に関するジュネーブ宣言」は、子どもの保護を定めた画期的なものでしたが、一方で子どもは「与えられる存在」であり、「どうするのが良いかは子ども本人ではなく大人が決める」位置づけにとどまっていました。

 日本では、充実した人権リストを備えた日本国憲法(1946)の精神にのっとり、1951年「児童憲章」が制定されました。時々「人権思想は外来思想であり、日本の伝統にはそぐわない」という意見を見かけることがありますが、そうではありません。日本の児童憲章は国連「児童の権利宣言」(1959)よりも8年も早く制定されており、世界的に見ても先駆的でした。

 さて、国連「子どもの権利条約」は1989年に採択されました。ヤヌシュ・コルチャック(ポーランド)の「今日という日についての権利」「あるがままである権利」や、マリア・モンテッソーリ(イタリア)の「子どもは保護されるだけの無力な存在ではなく、自分の意見を持つ社会の一員である」という主張などによる子ども観の転換が条約の内容に大きな影響を与えました。

 そして、従来の「子ども期に固有の権利」(保護される権利、与えられる権利)と同時に、新しく「大人と同じ権利(子どもの市民権)」を重視しています。「どうするのがその子にとって最も良いか」を考えつつ、「その子自身はどうしたいのか」をしっかり聞き、それを尊重しながら決めていくことが、重要です。

 前半の「お勉強」のまとめとして、「人権」は、義務や責任を果たすことと引き換えではなく、「人間である」だけで認められるものであること、「子どもの権利を認めたらわがままになるのでは?」という懸念が聞かれるが、「自分の権利と同じように、他人も権利を持つ人間である」を学ぶことは「わがまま」へのブレーキとなること、人権は、対象も内容も常に拡大し、「発見」されてきたこと、というお話がありました。

「子どもの権利条約」は4つだけではない

 差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存及び発達に対する権利、意見表明権という4つの柱のみが注目されがちですが、子どもの権利条約にはもっと多くの、充実した内容が含まれています。研修では、ユニセフの資料を使って、「日本では、どんな権利が守られていないだろうか」を考えるワークをしました。グループごとに、条文と照らしながら多くの課題を考える時間となりました。

日本の子どもの現状

 日本は、1994年にこどもの権利条約を批准しました。これは法的拘束力を持つ国際条約であり、条約の定めにもとづいて子どもの権利を実現するために条約全体が実施されていくことが期待されているわけですが、日本の子どもの現状はどうでしょうか。

① 子どもの自殺が増えている

 2022年に初めて500件を超えた子ども(小中高校生)の自殺数は、その後4年連続500件超え。2025年は532件と過去最多を更新。自殺の動機は、「学校問題」が最も多く、また増加している。「学校問題」の内訳として「いじめ」よりも「学業」「進路」「入試」が多い。

② 不登校も急増している

 2012年を境に小中とも増加に転じ、今は毎年過去最多を更新しながら急増している。

 この状況の背景には過度に競争的な学校環境の影響があるのではないかとして、日本政府は国連こどもの権利委員会から、たびたび改善を求める勧告を受けていることも紹介がありました。

 以上、長文になりましたが、研修内容でした!

参加者アンケートより

■ 人権の歴史から学べたことで、子どもの権利やその保障について、深く学ぶことができました。

■ 日本の学校における競争への指摘があったが、このあたりは教育の目的の部分にも関わってくるものだと感じた。また、教育虐待というものも頭をよぎった。SNS等で、特に、大学ごとにランク付けをしてランクの低い大学をFランと言い、バカにしたりする様子も見られる。子どもが、ただ頭の良い大学に行くことを目的にするのではなく、学びたいという気持ちをもって学業を楽しんで生活できるようになればと思う。

■ このような勉強会や研修が、また開催されると嬉しいです。同じように関心を持つ人たちと話し合ったり学び合える場がほしい。ありがとうございました!

■ どの条文も守りきれていない日本の現状!!子ども達だけの事ではなく、日本では大人(?)すべての人に対しても権利が充分達成されていない事は大きな問題です。知らされていない。教育現場でも教えてもらえてない。非常に大きな欠点です。

■ 大人がどんどん息苦しく、余裕なく生活している中で、子ども達の生活もどんどん忙しくつらいものになっていると感じる日々です。「人権」「子どもの権利」が守られる社会になるまで、一歩ずつ、子どもとともに活動していくしかないなと「カツ!!」を入れてもらった時間でした。子どもがこれ以上、死んでほしくないです。

■ 知らないことだらけでした。子どもは成人して今のところ関係ない状況ですが、日本が、全ての人が生きやすくなれば、日本の空気はとても穏やかになるのだろうと思いました。

■ 自殺の原因が、いじめが少なく学業がこんなに多いのにはびっくりしましたし、ショックでした。不登校の多さも、自殺者とつながっているだろうし・・・。労基で労働者・大人を守るように、子どもを教育虐待から守ることは必要だと感じました。

■ こどもの権利条約について少し調べてみると、「4つの柱」と4つに略されているが、じっくりと40条を読み、他の人とも話し合うことで、守られていないこと、疑問に思うことを気づかされました。

■ とても分かりやすく、また学びの多い時間でした。自殺の主な原因が学業関連であることにおどろきました。学校が、子どもたちが本来もつ知的好奇心、知りたいきもち、学ぶ楽しさと意欲を奪う一因にもなっているかと思います。

■ 我が子の子育ての時に知っておかなければいけない事ばかりでした。母子手帳に書かれていてもよいと思います。

■ 大変勉強になりました。まず、私たち大人が変わることかと。

■ 私自身、若い時に「子どもの人権」を学んでいれば、子ども達への対応も、変わっていたんだろうなーと少し後悔。しかし、楽しいお話をありがとうございました。

■ 親と子の接し方?日々、子どもの人権について思うことありまくりです。私が「もやっとする」ところは「子どもの人権が守られていない」ところで、うまく説明できるすべがほしいです・・・。すべての親と子の子どもの人権を考える、知る機会がもっとあってほしいです。

■ 人権の歴史、大変興味深かったです。子どもの権利条約については、個々にもっと勉強しなければと思います。

■ 学校をもっと楽しく、行こうと思える場所にしてほしいです。学校は必ず行くものだと考える世代です。また、このような研修の場をつくっていただきたいです。

■ 子どもの権利条約を日本が批准したのは1994年。その頃生まれたわが子たちはすでに親になりました。批准してからの約30年間、もし日本政府がこの条約の精神を生かそうと全力で取り組んできたならば、日本の子どもたちや子育ての現在は大きく違っていたに違いありません。そう思うと、自分自身への反省も含めて悔しい気持ちになります。でも、問題は「では、これからの30年をどうするのか」ということです。子どもの権利を守れる大人になりたいし、そのために尽力してくれる政府・政治を選びたいです。

講師コメント

 お話のあとに質疑の時間をとることができなかったのですが、アンケートに寄せられた質問や要望に越野先生がコメントを下さいました。

■ 「子どもの権利条約を実践するために」のところから、もう少しつっこんで話を聞きたかったです。学校に関わる仕事をしている者として、学校をどう変えていけるのか、自分のできることはあるのか、何なのか、日々悩んでいます。

(コメント)時間が足りなくて十分お話しできず、すみませんでした。「…実践するために」のところでいちばん強調したかったことは、権利条約第42条に定められている「周知義務」の徹底です。子どもがどのような人権をもっているのか、子ども自身に知らせなければ、それが侵害されていても気づけません。したがって子どもに権利条約の内容をきちんと教えることが喫緊の課題であり、「できること」だと思います。
 もちろん、子どもに知らせるためには大人が知らなければならない。そのために学校教育や社会教育の場はとても大切な役割を担えると思っています。子どもの権利条約について学び、教え、理解を広げていくこと(学校内でも学校外でも)、無理せずできることから取り組んでいただければ嬉しい限りです。

■ 小中高生の自殺動機の調査、元データや調査方法が気になる。

(コメント)元データはすべて警察庁のものです。それを統計としてまとめているのが、年によって厚生労働省だったり内閣府だったりと違っていますが。
 自殺は「変死」なので、警察は必ず事件性がないことを確認するために現場に来ますし、関係者の話も直接聞き、遺書などについても確認します。文部科学省は警察とは別に独自の自殺調査を行っており、その結果も公表しています(「生徒指導上の諸課題」調査)が、そもそも全件を把握できておらず、背景などについても学校の理解している範囲のことを学校が回答しているだけなので、文科省調査と警察のデータでは明らかに後者の方が信頼できます(警察には警察のバイアスがあるかもしれないので、100%信頼できる、とは言えませんが)。
 「動機」については、一件の事例につき3つまでは(統計に)数える、というやり方でカウントしているようです。webで「○○年中の自殺の状況」あるいは「自殺の状況」で検索していただければ上位にヒットすると思います。

■ ところで、不登校だった子ども達のその後はどうなっているのでしょうか?声をあげる事ができ、活動へつなげられる大人も時折お見かけしますが、大多数はそのまま大人になっているかと思います。彼、彼女らが、その当時どうして欲しかったのか意見をくむ機会はあるのでしょうか?

(コメント)これはなかなかスッキリ答えられない質問ですね。まさに「そこが課題」という感じではないかと思います。「登校拒否・不登校問題全国連絡会」という、(元を含む)不登校児の保護者と研究者らでつくる会に関わっており、そこには「当事者」も一定数参加してくれていますが、不登校の要因や「どうして欲しかったか」は、人によってまちまちです。全体の傾向を見るための統計などもまだまだ十分にはありません。不登校しているその時点では、なぜ学校に行けない(行きたくない)のか本人もうまく自覚できていない、ということも多々あるようです。
 「その後」についても、いわゆる「社会的自立」がりっぱにできている人も多いですが、他方で成人期になっても「引きこもり」状態を引きずり続けるケースも(これは当事者でなく保護者の方の語りから聞こえてくるのですが)少なくはない。
 さし当たりできることは、(不登校まっただなかとか、休みはじめの子どもには)焦らせず、急かさずに、ゆっくり・たくさん話をすること(学校の話ばかりでは煮詰まりますから、日常の何気ない「普通の会話」を大切に)、そのなかで子どもが自分の思いを言語化していくことを手助けしながら気長に待つ、ということかなぁと思っています。
 「こどものけんり・わかやま」でも、様々な立場にある「声を届けづらい」子どもたちの声をどうやって拾うか、現在の課題として取り組みを考え、準備しているところです。

 研修には17名の参加がありました。皆、熱心に積極的にお話を聞き、アンケートにも記入してくださいました。子どもの幸せを願う私たちです。いつでも何度でも、これからもいっしょに学んでいきましょう!

 (最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!)

この記事を書いた人

馬場

わりとしょっちゅう参加しています。子どものつぶやきが好きです。

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